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SAMPLE.5

 

煌子

「どうしたんですか?」

 

大雅・祥平

「…………」

 

???

「姉ちゃん……!」

 

煌子

「…………」

 

まさか、と思った。あの子が、ここにいるわけがない。でも……。

声がした暗がりを見ると、そこには――……。

 

煌子

「煌太(こうた)!」

 

我が弟・煌太がいた。

そして彼はズンズンとこちらにやって来ると、私の手を引く。

煌子

「ちょ……っ」

 

雨月煌太

「帰るぞ」

 

煌子

「は!?」

 

梶星也

「ちょっと待って」

 

所長がやんわりと煌太の肩を掴んだ。

 

雨月煌太

「触んな!」

雨月煌太

「あんたたち、姉ちゃんをそそのかしたんだろ。探偵事務所か何か知らないけど……ふざけんな」

 

心斗大雅

「あ?」

 

梶星也

「大雅」

 

反抗的な目で先輩たちを睨みつける煌太の目は、不信感で充ち満ちている。

――と、長い指先が私を煌太から引き剥がした。

湖川梓

「ちょっと落ち着こうか」

 

煌子

「え……っ」

 

湖川梓

「こんばんは」

煌子

「こんんばんは……って、ど、どうして湖川さんが――……」

 

梶星也

「えーっと」

 

梶星也

「何がどうなってるのかな?」

 

心斗大雅

「どうしたもこうしたもねえ」

 

心斗大雅

「巻き込まれたんだよ、そこのクソチビガキに」

 

雨月煌太

「チビって言うな!」

 

心斗大雅

「ただでさえ予定狂ってイライラしてたってのに。マジで最悪だ」

 

梶星也

「ちょっと、誰でも良いから……今の状況を教えてくれないか?」

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